農業界のパイオニア

February 4, 2020

耶馬渓での農業体験

2019年7月6日、自然豊かな大分県中津市耶馬渓で稲の草取り作業をしました。

 

「下郷農協」を定年退職された末國(すえくに)さんとAPU生協の繋がりは深く長く、末國さんとAPU生協との共同企画である農業体験は今年で17年目になります。

元々九州の他大学から広く体験の受け入れをしていた下郷農協さんへ、APU生協から受け入れの要望が来たことで始まった企画でした。それから17年も継続して付き合いがあるのはAPUだけです。

APU生とのこれまでの交流の軌跡。写真を飾ってくれています。

 

今回の農作業は、6月の農業体験でAPU生が植えた稲の手入れをする、というものです。稲は元気にまっすぐ伸びており、根はしっかりと張っていました。その稲の周りには、無農薬ゆえに雑草がたくさん生えており、この雑草を抜き取らなくてはいけません。稲の成長をより早く、たくましく、お米を美味しくする大事な作業です。

また、田んぼの泥を直接足で踏むことで泥の中のガスが抜け、泥がうまく混ざるのだそうです。単なる草抜きに見えますが、この作業をするのとしないのでは、稲の成長に大きな違いが出ると言います。泥の柔らかさを足に感じながら、稲を踏まないように気をつけ、雑草を抜き取っていきます。

 

次に自然薯の周りの草取り作業をしました。自然薯はストレスを感じやすい食物なので、成長するための環境をきちんと整えてあげなければいけません。自然薯の根の生え際にある雑草を丁寧に抜き取ります。

 

作業をしながら肥料や農薬についてのお話も聞きました。安価で手にしやすい輸入農薬や化学肥料を使った野菜はえぐみや臭みが出やすいそうです。ここ、下郷農協さんの取り扱うものは完熟堆肥といい、長い時間と手間をかけて作られた有機質肥料です。農業体験の後にあるBBQで野菜の美味しさや甘さを実際に堪能し、どれだけいつも口にしているものと違うか感じることができました。

 

良い食べ物をつくるために

 

これほどにこだわりがあり、本当に美味しいものを知ってほしいという思いを持っている末國さんから、ご自身についてのお話を伺いました。

 

末國さんは元々大阪で働いていました。神戸で本当に美味しい「焼き豚」に出会ったのが、農業という世界に入った一つのきっかけだそうです。それはスーパーで置いている人口の香りがつけられた焼き豚とは違い、焼き豚本来の美味しさが際立ったものだったそうです。

 

30歳の時に下郷農協へ転職し、そこで末國さんが力を入れたことは、美味しい焼き豚の研究でした。ヨーロッパでは肉を取り扱うのに国家資格と3年以上の修行が必要です。日本は遅れている、と感じた末國さんは、ドイツから焼き豚作りの職人を呼んで、その人の元で修行をしたそうです。かかったお金は総額400万。しかし、そのおかげで今の下郷農協の土台となる焼き豚ができました。ソーセージ、フランクフルト、餃子等、さまざまな食品に生かされています。

 

末國さんが極めたのは焼き豚だけではありません。「下郷農協カフェオーレ」を作る際、コーヒーの抽出がうまくいかず、美味しくないと感じ、コーヒー抽出機を自ら作ってしまったそうです。名物のコクのある牛乳とネルドリップしたコーヒー抽出液のコントラスト、飲んでもらわないと美味しさは伝わりません。

 

 

また大分県内の大手ショッピングモールやスーパーに下郷農協の農畜産物や惣菜を置いてもらうよう交渉をし、コネクションを作ったのも末國さんでした。今でもスーパーやショッピングモールに置いているところがあるので探してみてください。

 

そして全国各地、世界各地から毎年約60団体の受け入れを行い、農業に関する講習を行ってきたと言います。末國さん自身も、当時の農業先進地域である中四国に行き、美味しい食べ物を知り、農畜産業を学びました。その後、全国各地へ足を伸ばし、食べ物に関する講演をたくさん行ってきたそうです。

 

将来は、耶馬渓の山にトンネルを掘り、自然界を利用し、塩漬けで天然熟成させたハムを作りたい、と原点である豚肉への思いを熱く語ってくださいました。下郷農協を定年退職した末國さんですが、まだまだ熱い夢や目標があるのです。

 

 

「パイオニアであれ」

 

食べものの美味しい時期の見極め、こだわりのある農作方法、それらを全国各地で講演してきました。人の口に入るものに強い責任、また本当に美味しいものを知ってほしいという強い思いが感じられました。人の食に関する考えを変えようと挑戦し続けてきた末國さんは言います。「人と同じことをやってもだめだ、パイオニアであれ」

 

農業体験は6月の田植え、7月の草取り、秋の稲刈りを行い、刈り取ったお米で1月にはAPUカフェテリアで餅つきも行われます。農業体験にはAPU生協で申し込みができます。空気のきれいな耶馬渓と美しい景色、本当に美味しいお肉や野菜を堪能し、末國さんや周りの農家さんと語り合ってみてください。新しい感動や発見があるはずです。

 

汗をかいた後のバーベキューは格別です。

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